○紀美野町再燃火災防止要綱

平成28年6月15日

消防本部訓令第4号

(趣旨)

第1条 この訓令は、紀美野町警防規程(平成18年消防本部訓令第8号)第64条に規定する火災現場における再燃火災の防止について、必要な事項を定めるものとする。

(用語の定義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 鎮圧とは、消防隊等の火災防ぎょ活動により延焼拡大の危険がなくなったと現場最高指揮者が認定したときをいう。

(2) 残火処理とは、鎮圧後、残り火を点検処理し、鎮火に至るまでの活動をいう。

(3) 鎮火とは、現場最高指揮者が焼損状況を見分して、再燃のおそれがないと認定した時点をいう。

(4) 現場保存区域とは、紀美野町火災調査規程(平成22年消防本部訓令第1号)第27条に規定する火災原因調査等の必要上、保存すべき区域をいう。

(5) 警戒とは、消防隊等が現場を引き揚げたのち、再燃火災を未然に防止するため再び火災現場に出向し、残火処理活動を行うことをいう。

(6) 関係者等とは、火元建物、類焼建物等の所有者、管理者又は占有者若しくは現場最高指揮者が必要と認めた者をいう。

(再燃火災防止手順)

第3条 再燃火災防止の手順は、別表第1のとおりとする。

(残火処理の指揮)

第4条 残火処理活動の指揮は、現場最高指揮者が行わなければならない。この場合において、その体制は、火災の規模、状況等により現場最高指揮者が決定する。

(担当区域の指定)

第5条 現場最高指揮者は、残火処理活動を効率的に行うため、消防隊等ごとに残火処理担当区域を指定しなければならない。この場合において、木造建物にあっては焼けどまり付近、耐火建物にあっては直上階等に対する延焼危険箇所を重点区域とし指定しなければならない。

2 現場最高指揮者は、小火、消防隊等到着時すでに消火活動の必要ない火災その他焼損程度が軽微な火災においても、残火処理活動を行う消防隊等を指定しなければならない。

(安全管理)

第6条 残火処理活動を指定された消防隊等の長(以下「隊長」という。)は、残火処理活動を行う段階において、建物等が警防活動上危険な状態になっている場合が多いことを隊員に周知徹底させ、壁体、柱等の倒壊、床、瓦等の落下、転落、踏みぬき等及び危険物の把握状況について具体的に指示しなければならない。

(残火処理活動)

第7条 隊長は、別表第2に定める残火処理基準に基づき、残火処理チェックカード(第1号様式。以下「チェックカード」という。)により残火の確認を行うとともに、警防資機材を効率的に活用して、迅速、的確な残火処理活動を実施しなければならない。

(残火処理活動時の留意事項)

第8条 現場最高指揮者は、残火処理活動を行うにあたり破壊作業をするときは、努めて関係者の承諾を得たのち実施しなければならない。ただし、関係者が不在のため承諾を得られない場合は、現場に在る警察官その他状況を立証できる者と協議のうえ、必要な措置を講じ、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。

(1) 破壊箇所は、作業が容易で、かつ、最大の効果が発揮できる部分とすること。

(2) 破壊範囲は必要最小限に止めること。

2 残火処理活動のための注水活動は、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。

(1) 消防対象物に適応した注水方法により効率的に行うとともに、出火場所付近の注水は、噴霧注水等を主体とすること。

(2) 水損防止を図るため、必要に応じフォグガンの使用又はサルベージシート等の水損防止用資機材を有効に活用すること。

3 可燃物又は焼残物の搬出については、次の各号に掲げる事項に留意しなければならない。

(1) 布団、マット、繊維等再燃のおそれのある物品は、必要に応じて屋外の安全な場所に搬出して水に浸す等の残火処理活動を行うこと。

(2) 倉庫、材木置場等で多量に可燃物を集積する場所における可燃物又は焼残物の搬出には、必要に応じ関係者の協力を求め効率的な残火処理活動を行うこと。

4 残火処理活動にあっては、特に、火災原因等の調査に必要な部分等の保存及び証拠の保全に努めなければならない。

(鎮火の決定)

第9条 鎮火の決定は、次によるものとする。

(1) 鎮火した旨の判定は、現場最高指揮者が行うものとする。

(2) 現場最高指揮者は、隊長が作成したチェックカードの提出又は報告に基づき、点検漏れのないことを確認し、鎮火を決定するものとする。

(説示書の交付)

第10条 現場最高指揮者は、消防隊が火災現場を引き揚げるとき、再燃火災防止のため必要があると判断した建物等の関係者に対して、説示書(第2号様式)を交付し協力を求めなければならない。なお、交付に際しては、特に危険と思われる箇所等を具体的に口頭説明するものとする。

2 現場最高指揮者は、関係者等が不在のため、前項に基づく説示書を交付できない場合には、当該説示書の余白にその旨を記載し、保存するものとする。

(警戒)

第11条 消防署長は、火災警報が発令中若しくは異常気象(強風、乾燥注意報)が発表中の場合又はその他必要と認めた場合は、消防隊等に警戒を行わせなければならない。この場合、残火処理基準に基づき点検を行うとともに、警戒点検記録表(第3号様式)により記録しておくものとする。

(再燃火災の発生)

第12条 消防署長は、管内において再燃火災が発生したときは、再燃火災発生報告書(第4号様式)にチェックカード及び警戒点検記録表の写し、並びに現場写真を添付し、直ちに消防長に報告しなければならない。

この訓令は、平成28年7月1日から施行する。

別表第1(第3条関係)

再燃火災防止の手順

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別表第2(第7条関係)

残火処理基準

構造別

特に残火が生じ易い場所等

点検要領

搬出・破壊要領

木造

屋根、小屋裏、天井裏、床下等

点検口(押入れの天井部分等)等から、内部を視認する。

小屋裏、天井裏及び床下の点検には、天井、床等を一部破壊する。

家具類(タンス等)、戸棚の裏側

移動させて火気及び煙の有無を確め、更に内部の収容物を視認する。

1 収容物のうち衣類、書籍等で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。

2 家具類、戸棚等を移動し、必要に応じ破壊器具等により局部を破壊する。

押入れ、戸袋等

1 収容物を引出し、内部を視認して火気及び煙の有無を確かめる。

2 小屋裏への燃え抜け状況を確認する。

1 収容物等で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等必要な措置を講ずる。

2 小屋裏の点検は、天井、壁等を一部破壊する。

暖房等の火気使用施設周囲の鉄板張内装裏面及び煙突の貫通部分等

変色部分等の表面を素手で触れて温度を確かめる。

変色部分等の表面温度の高い部分及び煙突の貫通部分を破壊器具等により局部破壊する。

瓦下地等、畳の合せ目等

1 焼け止まり箇所等を視認する。

2 畳で焼けの深いものは床板まで燃え抜けているか確認する。

1 畳で焼損しているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な処置を講ずる。

2 屋根の点検は、瓦及びその下地等を一部破壊する。

柱、梁、合掌等のほぞ部分等

1 視認及び表面を素手で触れて温度を確認する。

2 通し柱等に焼損がある場合は、小屋裏、天井裏まで確認する。

必要に応じ、けん引ロープ等により柱、梁等を転倒、落下させる。

焼損堆積物等

堆積物内部の火気を確認する。

1 可能な限りとび口等で掘り起し又は掘り返しを行う。

2 化学製品等で注水、加熱等により発熱の危険性があるものは、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。

布団、マット、繊維類、紙、木材、木くず

深部に残った火気を素手で触れる等して確認する。

消火器等で消火したもの、又は変色しているものなど、できる限り屋外の安全な場所に搬出し水に浸す。

強い加熱を受けた部分風下消防対象物の飛火危険箇所等

変色又は強い加熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確める。

1 変色又は受熱温度等から必要に応じ破壊器具等で一部を破壊する。

2 布団、繊維類等深部に火気が残り易いものについては、できる限り屋外の安全な場所に搬出する。

防火造

モルタル等壁の二重壁内等

変色又は強い加熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確める。

必要に応じ、破壊器具等により二重壁の一部を破壊する。

その他木造及び耐火造に準ずる。

耐火造

ダクト、パイプスペース等のたて穴部分等

1 点検口等から内部を視認する。

2 直上階等へのたて穴部分等で埋戻しの有無を点検する。

3 可燃物と接している部分を点検する。

1 押入れ等の収容物を引き出し、たて穴等の有無を確認する。

2 ダクト等の一部を破壊する。

ダクト、パイプ等の壁体並びに床貫通部分の仕舞材及び埋戻し箇所等

1 点検口等から視認する。

2 変色部分等の表面を素手で触れ温度を確める。

ダクト、天井、側壁等の一部を破壊器具等により破壊する。

その他木造及び防火造に準ずる。

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紀美野町再燃火災防止要綱

平成28年6月15日 消防本部訓令第4号

(平成28年7月1日施行)